おはようございます。本日は2022年2月19日、東京国際空港・羽田の国内線第一ターミナルから始まります。
当ブログでは二回日本航空のフライトをお伝えしていますが、振り返ってみると羽田の第一ターミナルから出発する搭乗記は初めてです。
ターミナルのコンセプトを総じていうと、第二ターミナルは太陽光を多く取り入れる明るい設計なのに対して、第一ターミナルは落ち着いた雰囲気を味わえる設計になっています。
今回はここ第一ターミナルから青森空港に向かいます。
チャンギ空港を彷彿とさせるガーデン
搭乗する日本航空145便は13時15分発、搭乗口は31番です。出発の1時間ほど前に保安検査場を通過しました。
今回も保安検査場に警察官の姿がなかったのですが、最近ではいないのが普通なのでしょうか。いつもいるイメージなので気になってしまいます。
そしてこちらは素敵なガーデン。シンガポールのチャンギ空港を彷彿とさせます。植物は土に植っていて、水も流れています。
搭乗口31番までは少し歩きました。他の搭乗口よりひとつ下のフロアから搭乗口を通過し、バスで飛行機まで向かいます。
搭乗するのは当ブログで初の紹介となるエンブラエルE190です。
エンブラエルはブラジル製の飛行機です。教科書に載っているのはせいぜいボーイング、エアバスまでだと思うのでブラジルで飛行機を作っていること自体初めて知った方も多いのではないでしょうか。
世界全体のシェアではボーイング、エアバスに続く第三位であり、世界中の地域間路線を支えていると言えるでしょう。
座るところはたくさんあります。この時間帯は31番搭乗口からJL145便が出発するだけなので、このフロアはとても空いています。
時刻は12時50分、この辺りでグランドスタッフから搭乗案内がなされます。また、離陸後長い間揺れることが予想されていることも案内されました。
バスで2分ほど移動すると搭乗する機体に到着しました。思ったより小さいというのが正直な感想です。機体に書いてあるとおり、この便はグループ会社のJ-AIRが運航を担当します。
日本航空便の地域間路線を主に担当する会社ですが、コロナ禍ではこうして羽田空港に姿を表す機会が増えました。機内サービスは概ねJAL運航便と同じです。
機内はクラスJ、普通席の設備。普通席は2+2の横4列の座席配置です。
黒を基調とした座席はJALの看板とも言えるSKY NEXT仕様の本革素材。見た目は非常にスリムですが骨組みが背中に当たることなどなく、快適な座り心地です。
総座席数が95席なので客室乗務員は2人でした。
指定したのは31K、進行方向に向かって右側の席です。雨予報すらあったのですが、今の時間は太陽の光が若干差し込むような状況。機内は"I Will Be There With You"が流れています。
13時10分ごろにドアが閉まり、13時17分にプッシュバックを開始しました。定刻で羽田を出発です。
新名物「ショートプッシュ」で出発
E190は客室乗務員のデモンストレーションで機内の安全について説明します。
そのデモンストレーションが終わるのとほぼ同時刻にプッシュバックが完了しました。
今回のプッシュバックはちょっと特殊。2021年6月から始まったショートプッシュという方式で行いました。
通常(上図左)は90度の垂直にプッシュバックしますが、ショートプッシュ(上図右)は半分の45度の位置で止めます。以前から実施している空港は日本にもありましたが、羽田空港で実施するのはJALが初。
今回のようなオープンスポットから出発するエンブラエルE170/190、ボーイング737(いずれもJAL便)が対象です。
W誘導路を走行していると平行誘導路を走る伊丹からのボーイング737と並走しました。
曇天の羽田を離陸〜すぐに雲の中へ
北から風が吹いているので離陸滑走路は34ライトです。W,Hの順で地上走行していると地上管制席から飛行場管制席に移管。
関連機がいないため、C5からのインターセクションディパーチャーで離陸許可が発出されました。
安定のスタンディングテイクオフで離陸。
離陸するとまずは大きく右旋回。東京湾の淵に沿いながら旋回を繰り返します。
出発前には揺れが予想されるとアナウンスされましたが、実際にはそこまで揺れませんでした。北上を始めるとところどころ切れ間はあるものの、雲の中を飛行することになりました。
五代目スカイタイムを楽しむ
離陸してから約15分でベルト着用サインが消灯しました。
「雲外蒼天」の説明に使いたいくらい美しい景色が眼下に広がっています。いつもは地表の景色を見られないと残念だと思いますが、今日に限っては別。このあと雲が素晴らしい演出をしてくれます。
ドリンクサービスが回ってきました。今回はアップルジュースではなくスカイタイムの「ももとぶどう」を選びました。味はさっぱりしていてジュースのような甘さではありません。好きな味です。
そうこうしていると副操縦士からアナウンス。高度35,000フィート(約10,600メートル)で山形県上空を飛行中、この先の気流は良好、青森空港には定刻より5分早い14時30分ごろに到着する見込みとのことです。
青森空港の天候は曇り、気温は2℃であることもアナウンスされました。
雲を抜けると、そこは銀世界
14時ちょうどに巡航高度35,000フィートを離れ、降下しはじめました。
14時15分ごろ、ベルト着用サインを点灯させると本格的に降下していきます。降下中はずっと雲の中でしたが特に揺れることはありません。
そして、ふと気づいた時にはすでに雪が積もった地上が見え始めていました。
つい30分前まではスカイツリーが見えていたのに、雲を向けるとそこは銀世界。奥には十和田湖も見えています。
札幌コントロールの指示に基づき降下していきます。雪山の合間を縫うように降下していく機窓は圧巻です。途中でスキー場のリフトと思われる設備が肉眼で認識できる場面もありました。
管制官から通報された着陸予定滑走路はRWY24。RNAV-Z方式で進入します。
JL145便は青森飛行場管制席に移管。ポイントSA454で左旋回を終えます。
左旋回を終えたタイミングで一際目立つ国道103号線が見えていれば、これはRNAV進入であると判断できます。
青森空港のRWY24は国内で運用されているILSの最高精度 "CAT III b" を備えている超ハイスペック滑走路です。なぜ国内最高精度のILSが整備されているのかというと、青森空港は標高約200メートルなので、春から夏にかけての季節風「やませ」が、空港のある高台をのぼる際に滑昇霧を発生させるからです。
最高精度のILSを配備することにより、濃霧による欠航はほぼ無くなったのではないでしょうか。
一切バウンドしない確実な接地でRWY24に着陸。時刻は14時24分です。
滑走路は除雪されていますが、着陸帯はかなり雪が積もっています。
T2を右折して滑走路を離脱します。標識が見えるようにと周囲を除雪した跡がわかりますが、かなり近づかないと読み取ることができません。
国内最高峰の除雪部隊「ホワイトインパルス」
駐機場に近づくとたくさんの除雪車が整列して駐車していました。
こちらは青森空港の除雪部隊、通称「ホワイトインパルス」です。雪が降る地域の空港には大抵除雪隊がいますが、とりわけ、青森空港の除雪隊「ホワイトインパルス」は飛行機好きの間で知名度が高いです。
機内ではおそらく非オタの人が「ホワイトインパルスだ」と話している声が聞こえてきました。
青森空港の年間累計降雪量は10メートルを超えます。その雪を隊列を組んで除雪する姿は、一糸乱れぬ隊列飛行を披露する航空自衛隊ブルーインパルスを想起させます。まさに「ホワイトインパルス」と呼ぶに相応しい精鋭です。
14時27分ブロックイン、定刻より3分早い到着です。
降機は3段階に分けて行われました。31列目は後方なので降機順位は一番最後。先を急ぐ旅ではないのでゆっくり降りる準備をしました。
とは言っても、飛行機自体が95人乗りなのでそんなに長い間待ちませんでした。
ゆき、すごい
まず降りてから初めに思ったことは、空港がきれいだということです。
東北新幹線が新青森駅まで320km/h運転を実施したことで、東京・青森間の陸路の所要時間は最速で3時間を切りました。空港や空路は朽ちる一方かと思いきや、このようにしっかりと施設管理に予算が充てられ、東京便も残っています。
飛行機を好む需要の確保、そして災害時の輸送手段の確保といった国土強靭化のためにも、どちらかにシフトするのではなく、両方維持させることが重要ではないかなと思います。
怖いもの見たさ(?)で展望デッキにやってきました。
人ひとりが通れる程度の幅が除雪されていましたが、除雪されていない場所はご覧の通り雪の壁と化しています。左の双眼鏡もかなりの高さまで雪に埋もれてしまっています。
青森市内行きのバスはJRバス東北が運行しています。時刻は航空機に合わせて設定されています。青森駅までの所要時間はおよそ35分、750円、交通系ICカードが利用できました。
乗ったバスは大型でしたが、乗客は5人くらいでした。空港行きは20人くらい乗っていたので時間帯によって変わるのでしょうね。
さて、青森に到着しました。初めてのエンブラエルは満足なフライトです。
離陸直後から雲の中を飛行するフライトも、結果的には「雲を抜けたら銀世界」の演出をしてくれました。今回は青森で一泊して明日朝一番の羽田行きで帰ります。
ありがとうございました。