航空ファンによる航空・旅行ブログ

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日本が誇るローカル航空会社全社を徹底的に紹介します!

日本にはANA日本航空と言ったフルサービスキャリアの他に、ジェットスターPeachと言ったローコストキャリア(LCC)、スカイマークが当てはまる独立系、エアドゥやフジドリームエアラインズと言った地域密着型航空会社(ローカル航空会社)が存在します。

今回は、日本にある全ての地域密着型航空会社(ローカル航空会社)を紹介したいと思います。

それではよろしくお願いします。

 

北海道の翼~エアドゥ AIRDO~

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エアドゥは元々北海道国際航空として運航していましたが、2012年に愛称で使用していたAIRDOを正式に社名として採用しました。

以前は固定客の獲得に苦労したり北海道の翼と謳っていたにも関わらず、道内は新千歳以外に就航していなかったことが影響し、かなりの経営難に陥っていました。その後2001年に発生した同時多発テロが経営難に拍車をかけ、2002年の6月に民事再生手続きを始め、当時の北海道国際航空は経営破綻しました。

経営破綻後は、ANAと業務提携を結び堅調な路線展開をしています。

機材はボーイング767-300ER 2機を自社保有ANAからの転籍機(-300を2機、-300ERを2機)の4機を主に羽田=千歳、函館、旭川線の運航に就かせています。

また、ボーイング737-700を8機(全てANAからの転籍)を羽田と道内各地の空港を結ぶ路線や、地方と新千歳を結ぶ路線に就かせています。

エアドゥは北海道の翼ですが、道内間を結ぶ路線は開設しておらず、全て道内と本州を結ぶ運用になっています。

ドリンクサービスはお茶やアップルジュースなど、ANAと同じようなものからリボンナポリンやじゃがバタースープといった、エアドゥオリジナルのドリンクも提供しています。(計6種類)

また、無料モーニングサービスを2016年より実施しており、平日の11便と12便の乗客を対象に北海道にこだわった手作りパンを無料で提供しています。第一弾では、富良野産タマネギを使用した「オニオンブレッド」を提供したようです。

最近では国際線のチャーター便に積極的な印象を受けます。

なお、全便でANAと共同運航をしています。

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道民の翼~北海道エアシステム~

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公式HPより

北海道エアシステムは主に札幌の丘珠空港(札幌飛行場)をハブとして、函館や釧路、利尻、三沢(青森県)を結んでいる道民が利用しやすい路線形態となっている日本航空グループの航空会社です。

また、現在日本で唯一のSAAB 340BWTを運航している会社として、航空ファンの間でも注目を集めていますが、北海道エアシステムでは2020年より老朽化したSAAB340 BWTの後継として、ATR42-600の導入を進めています。

路線距離の問題から、全ての乗客を対象としたドリンクサービスは実施しておらず、公式HPには客室乗務員に頼めば、お茶とミネラルウォーターを提供してくれるらしいです。

歴史的に見ると、北海道エアシステム日本航空の関係はややこしくて、日本航空が経営破綻した際に一度経営から撤退し、事実上北海道エアシステムは2011年~2014年間JALグループから離脱した形になります。そのため、2011年から2015年までは機体に日本航空の塗装されることは無く、緑色でHACと描かれたものがロゴになっていました。

現在は日本航空のHPから航空券の予約ができます。

わたしの翼~IBEXエアラインズ~

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IBEX(アイベックス)エアラインズは、株式会社日本デジタル研究所を親会社にもち、仙台や大阪伊丹を拠点に北は北海道から、南は九州までの各地に就航しています。

機材はボンバルディア CRJ700NGを使用しており、現在日本で唯一のCRJを運航している航空会社です。

全便でANAと共同運航をしており、機体にはANA Connectionとペイントされていて、成田空港発の便ではANAと同じスターアライアンスメンバーのユナイテッド航空とも共同運航をしています。

リージョナルジェットの利点を活かし、中・大型機はもといB737などの小型機でも採算が取れないような地方路線でも採算が取りやすいので、地方間の高速移動手段としての地位を確立しています。

ドリンクサービスは、コーヒー、アップルジュース、お茶、コンソメスープと概ねANAと似たようなサービスになっています。

バラエティな翼~フジドリームエアラインズ~

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フジドリームエアラインズは、静岡県の「鈴与」という物流会社が2011年から運航をしている航空会社です。

静岡空港(富士山静岡空港)に本社を置き、運航路線は静岡や名古屋(小牧)、そして最近では規制緩和により発着枠が増えた神戸空港を拠点として、路線展開を進めています。

フジドリームエアラインズが拠点化している県営名古屋空港(小牧空港)は、もともと旅客便を中部国際空港に一本化する構想があり、就航数を絞っていたんですが、現在フジドリームエアラインズ東日本大震災の復興支援という名目で運航しているらしいです。この問題は深堀するとツッコミどころが満載なんですが、今回はこれくらいに…

全ての定期便で日本航空との共同運航を実施していて、東海地方に工場を持つ製造業のビジネス需要を上手に拾っている会社とも言えます。

また、旅行会社によるチャーター便にもよく使用されていて、JA04FJをチャーター便専用機材として運用するなど、フジドリームエアラインズ自体もチャーター便に乗り気です。

そしてなんと言っても外せないのが、機体のペイントです。

フジドリームエアラインズでは現在16機のエンブラエル E170(E175)を保有していて、その全機でペイントのカラーが異なります。上の画像はシルバーなので、10号機だと分かりますが、他にもレッドやブルー、最新機(JA16FJ)はバイオレットになっています。

ドリンクサービスは、静岡県内に本社を持つコーヒー会社のコーヒーや、静岡県産茶葉を使用したお茶を提供しています。また、全ての路線でチョコ菓子を提供している他、早朝路線ではパンの提供を行っています。

顧客満足度殿堂入りの翼~スターフライヤー~

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公式Twitterより

空港の展望デッキで飛行機を見ていたら、白が多い飛行機の中に突如として現れる威風堂々とした存在感を示すあの真っ黒なアレはなんだ。

きっとこのような疑問や好奇心を多くの人に持たせた航空会社は、顧客満足度国内航空部門にて11年連続第1位というとんでもない伝説の記録を現在進行形で更新し続ける、九州は福岡県北九州市に本社をもつスターフライヤーです。

国内線では羽田空港から関空、山口宇部、北九州、福岡に就航。中部国際空港からも福岡路線を展開していて、北九州=那覇便もあります。

2018年から国際線も復活していて、名古屋と北九州から台湾台北までそれぞれ1往復/日運航しています。

機材はエアバスA320型機を採用していて、同型機の座席数は大手航空会社が166席、LCCが180席としている中、スターフライヤーは150席と非常にゆとりのある座席配置だと言うことが分かります。

また座席は本皮、全席にシートモニターを設置、可動式ヘッドレストフットレストなどなどとても普通席とは思えない、大手航空会社のプレミアムエコノミーに匹敵する設備です。

国内線の2便と国際線を除いた便でANAとのコードシェアを実施しています。

長崎と離島を結ぶ翼~オリエンタルエアブリッジ~

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公式HPより

オリエンタルエアブリッジは東京や大阪などの都市圏にはあまり馴染みがない航空会社ですが、福岡県や長崎県と離島を結ぶまさに地域密着型航空会社の名がふさわしい会社です。

機材はボンバルディアDHC-8-200を2機、ANA塗装のDash8を数機リースして運航しています。自社保有の-200型機は2020年に構造寿命を迎えるため、程なくして引退するものと見られます。

ただオリエンタルエアブリッジは経営的にも機体的にもかなり追い込まれた状況であり、ここ数年-200型機は機材故障が非常に目立ち、欠航も相次いでいます。

ANAのDash8では滑走路長が足らない離島空港が一部あるため、将来的にはSTOLのATRあたりが導入されるものと思われますが、オリエンタルエアブリッジが提携しているANAにはATRのノウハウがないため、もし導入するとなったらばJALグループとの提携が不可欠になります。

これからどれだけの独自色を残していけるか、財政状況が悪い中どこまで地域に寄り添うできるかが課題だと思います。今後に期待です。

V字回復をしたイルカの翼~天草エアライン~

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Wikipediaより 撮影者Piggy1

天草四郎や島原天草一揆で、多くの人が名前は聞いたことであろう天草は熊本県にある市です。そして天草には1機のみで運航している天草エアラインが存在します。

天草エアライン熊本県天草市などの周辺自治体が出資した、日本で唯一の第三セクター航空会社です。また、出資元が熊本県熊本県の市町(熊本県民の税金)であることから、熊本県民の利益とならない熊本県外間を結ぶ路線の開設は、議会等により制限されています。

天草エアラインは現在保有機材はATR42-600を1機のみです。1機のみで1日10フライト(迷走時は1日14フライト飛ばしてた)を飛ばすとんでもないほどパワフルな航空会社ですが、機体に「みぞか」と名付けたキュートなイルカのペイントをしたことで、近年人気急上昇中の航空会社でもあります。

拠点となる天草飛行場は給油設備を持っていないので、天草エアラインパイロットは悪天候等により天草上空で待機するときには、再び天草から離陸するだけの燃料を残せるかという、他社ではなかなかない判断をしています。いわゆるFuelマネジメントってやつです。

天草エアラインはかなり破天荒な歴史を歩んできていて、以前は第三セクターの弊害とも言えるお偉い役人さんの天下り先となってしまい、社長が赤字でも黒字にしようとしないで退職金だけもらって辞めていく体制が続いたり、民間出身の社長になったらば人件費も整備費も「経費」と名のつくものはとにかく無条件でカットし、回り回って乗客が減少したり、松山路線のラストフライトが機材故障で欠航するなど、少ない部品を酷使したがため機材故障の欠航が相次ぎ、一時財政破綻寸前までいってしまいました。

ただ、その後就任した敏腕社長と、アイディアマンの社員達により奇跡のV字復活を遂げました。今では多くのテレビや雑誌、新聞等のメディア媒体で現在の天草エアラインの姿だけでなく、V字回復を遂げた社長の経営手腕も取り上げられています。

また、全便で日本航空との共同運航を実施しています。

九州の翼~ソラシドエア~

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ソラシドエアは2011年までスカイネットアジアという名称でしたが、2011年7月より変更しました。

ソラシドエアと聞くと、じゃあ「ドレミファエア」があるんかというと、そうではありません。ソラシドエアの英語表記はSola(空)seed(種)となっているので、音階のソラシドって訳ではなさそうです。

ただ、ネットではソラシドエアに名称変更した初日の機長アナウンスで、「本日は、ドレミファエアを…」って言い間違えたという都市伝説も出回っています。(ネタでしょうけど)

運航機種は全てボーイング737-800型機で、一部は最新鋭の787と同じ技術を取り入れた、機内照明をLEDにしたり客室内の騒音を軽減したBSI(Boeing Sky Interior)仕様の737を運航しています。

本社は宮崎県宮崎市にあり、主として羽田と九州各地を結ぶ九州のローカル航空会社的な存在です。最近では中部国際空港からも九州とを結ぶ路線が就航しています。

新造機JA813Xは国際線にも対応しており、ホットミールを提供するためのオーブンなど、国際線に必要な装備を備えている他、この機でもBoeing Sky Interiorを採用して快適な機内環境を提供しています。

ドリンクサービスでは、長崎県のトビウオからとったアゴだしと、大分県産のゆずを使用したアゴユズスープをオリジナルドリンクとして提供しています。

また、全便でANAとの共同運航を実施しています。

ローカル路線の本家~日本エアコミューター~

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公式HPより

日本エアコミューターは鹿児島県の鹿児島空港を拠点として、多くの離島路線に就航している他、伊丹空港からも離島や但馬等を結ぶ路線を展開しており、地元民のほか観光客等の多くの需要のある鹿児島の離島路線は日本エアコミューター1強と言えるほどの独占状態です。

現在、機材は全てATR型機を使用しており、路線の需要に応じて48席仕様のATR42-600と、70席仕様のATR72-600を使い分けています。

路線によってはドリンクサービスを実施したり、観光協会と協力して特産品の機内販売をしたりしています。

サービス内容は概ね日本航空に準じますが、ワンワールドアライアンスに加盟していないことから、今回紹介させていただくことにしました。

鹿児島県の離島に行くには欠かせない航空会社と言えます。

島々を結ぶ信頼の翼~琉球エアコミューター~

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公式HPより

琉球エアコミューターは沖縄の那覇市を拠点として、主に沖縄の離島間を旅客、そして貨物の輸送を行っています。航空ファンからは、琉球エアコミューターのIATAコード「RAC」を基にして「ラック」と呼ばれることもあります。

実質的には日本航空の孫会社に当たりますが、日本航空(ワンワールド)のステータスを琉球エアコミューターで利用することはできず、琉球エアコミューターの機体には鶴丸のペイントこそ施されているものの、一線を画した独自色を出している航空会社でもあります。

琉球エアコミューターの乗客は観光客だけでなく、生活路線がメインであるとも言えます。

琉球エアコミューターでは現在、DHC8-Q400CCという機材にて運航しています。このQ400CCと従来のQ400の違いは、貨物の輸送力です。プロペラ機のネックは貨物の輸送量の少なさで、特に生活路線を運航する琉球エアコミューターとしては貨物の輸送力を強化することが必至でした。そこで新たにQ400CCの導入を決め、貨物スペースは従来の2.5倍になりました。

「島は空でつながっている」をモットーに琉球の独自性を残し、島と本土の時間距離を短縮することもちろん、島文化を多くの人に伝えるという意味で島に貢献している航空会社とも言えそうです。

またQ400CCの導入を機に、ドリンクサービスの実現に向けて試行錯誤し、現在では飛行時間が1時間を超える路線でさんぴん茶のドリンクサービスを実施しています。

 

日本では、こんなに多くの地域に密着したオリジナリティーに富む航空会社があります。それぞれが一度は苦境に立たされつつも、地域に密着し、試行錯誤を重ねながら確かな信頼を獲得して、今日も元気に都会と"地元"を自慢の翼で結んでいます。

次回のご旅行の際は、今回ご紹介したローカルの航空会社を利用してみてはいかがでしょうか。搭乗したその時から地域性を味わえますよ。

最後まで読んでいただきありがとうございました。