先日、一時SNSツイッターのトレンド1位になり、航空系アカウントのみならずツイッター界を騒然とさせる騒動がありました。
今回はその件について、JALに不適切な批判が広まり、その不適切な批判をかわすためJAL広報が謝罪にまで至ってしまったこの状況を鑑み、JALは全く悪くないと言うことを立証していきます。
それではよろしくお願いします。
騒動の概要
この騒動は、あるツイッターユーザーがたまたまフライトレーダー24(以下、「FR24」とする)という航空機の情報を地図上に表示することができるアプリを使用していたところ、成田空港にJL123という便名を発信するターゲット(飛行機)を発見しました。
JL123便は言うまでもなく過去に単独機としては最多の犠牲者を出した、最悪の航空事故の便名です。*1
JALは事故以降123便を欠番(便名を使用しない措置)としており、現在も日本航空123便は存在しません。
ただ、そのJL123便がFR24上に出てしまったことが物議を醸し、同社の広報が騒動について謝罪する事態にまで発展してしまいました。
僕は騒動を目にし、FR24上のアーカイブを確認したところ実際にJL123便のターゲットが発信された履歴が残っており、一連の騒動は事実だと確信しました。

自分の目で確認したい方は、現在でもJA740Jのアーカイブを検索するとJL123のフライトアーカイブが残っています。
JALが全く悪くない理由を立証
JALは、整備作業上の理由で任意の便名を設定する必要があったため、0123の順番の数字を使用したとコメントしています。
これを証明するものがあります。

赤四角で囲った部分の数字は「コールサイン」と言う、運航上でパイロットや航空管制官等が使用するもので、航空会社が旅客向けに案内する便名とは似ていますが異なります。
コールサインはパイロットと航空管制官が無線上で指示や許可のやり取りをするので、聞き間違いや取り間違えが起こらない為に工夫がされています。
今回の場合はJAL0123便となっています。

例えばこちらはエアカナダの64便を表しているものですが、コールサインはエアカナダの064便となっています。

またこちらもエアカナダの4便を表しているものですが、コールサインはエアカナダの004便となっています。
これを見たところ、運航上用いるコールサインの0をFR24側が自動的に省略して便名を作成しているように思えます。
双方のコールサインは前者が「エアカナダ ゼロシックスフォー」、後者が「エアカナダ ゼロゼロフォー」であり、今回物議を醸したJL123(JAL0123)便は「ジャパンエア ワンツートゥリー」では無く、「ジャパンエア ゼロワンツートゥリー」であると言えます。
墜落したJL123便のコールサインは、当時の無線を聴くと明らかに「ジャパンエア ワンツートゥリー」です。ゼロは入っていません。
よって、航空管制上は今回の日本航空0123便と、墜落した日本航空123便は同一では無いと言えます。
実際問題、JAL123便が今も存在したとして、JAL0123便という便名を設定するかと言ったら、それはNOだと思いますが、規定上はJAL0123というれっきとした独立した便であり、万が一、億が一、同じ空域にJAL123便とJAL0123便がいた場合、管制官は片方を「ジャパンエア ワンツートゥリ」、もう片方を「ジャパンエア ゼロワンツートゥリー」と呼称しなければなりません。*2
規定では、コールサインの頭にある"0"は原則として読み上げなければならない。但し、混同の恐れがないときは省略される事もあるという扱いなので、「事故機と同じコールサインを使用した!事故機と同じ便名を使用した!」という指摘は当たらないと言えます。
逆に拡散者の誤解から騒動が発展した説

これは僕が勝手に考えたんですが、この騒動は元ツイの投稿者や拡散した者がFR24の特性を十分に理解しておらず、誤解した状態で拡散されたことにより騒動が発展したと思ってます。
FR24には画面に表示する情報(文字ラベル)に「便名」と「コールサイン」は別々の選択肢としてあります。

この選択肢で上2つの「コールサイン」と「便名」を選択して、画面を開いてみました。

そうすると、上段のコールサインには正しくエアカナダ064便と表示されますが、下段の便名にはエアカナダ64便とコールサインとは異なった表示がされています。
ただ、この場合はエアカナダ64便で正しいんです。合ってます。
時刻表には「エアカナダ64便」とあるので、この場合はFR24は正しいです。ってか、ほぼほぼコールサインの0を省いたのが便名なので、コールサインの0を省くのがデフォルト設定で問題ありません。
しかし、今回は違いました。
今回のフライトで航空会社が設定した便名は無いはずです。コールサインのJAL0123便のみのはずです。
なので、本来FR24はコールサインでJAL0123と表記し、便名はNo callsign*3とさせるべきでしたが、コールサインでJAL0123と発信されていたので、FR24が「おそらく便名はコールサインの0を省いたJL123だろう」と自動的に判断して誤表示してしまったのです。
それがユーザーの目に留まり、また誤表示された便名が欠番のJL123だったので大きな反響が起こったのだと推測します。
この件でJALを責めるのは筋違いだし、JALは間違ったことはしていない。

ここまで読めば、この件はJALのミスにより発生していない事は容易に理解できるはずです。
もっと分かりやすく、今回のようなFR24上の誤表示に対して、JALを責めるというのはどれだけおかしいことか例え話を作ってみます。
例えばある塾が「窮地に追い込まれた時に大切なのは、自信だ!自信!」というネット記事を寄稿したとします。
そして、その寄稿記事を読んだA氏のスマホは、全ての漢字が平仮名表記される設定になっていたとします。
なのでA氏のスマホには「きゅうちにおいこまれたときにたいせつなのは、じしんだ!じしん!」と表記されました。それを見たA氏は「地震地震と連呼するな!内容も不謹慎だろ!」と反応します。
A氏のスマホが漢字表記になっていれば、自信と読めたはずなのに、正しく理解できない設定にしていたがために、自信を地震だと勘違いして不謹慎だと反応してしまったのです。
今回の件も、FR24の表記を便名ではなくコールサインにしておけば、このような誤解も発生しませんでした。
JALとしては、予想もできないようなFR24というアプリの誤表記で、SNS上では「今の社員はあの事故の事を忘れたのか」と数多く罵られ、事態の沈静化を図るため謝罪までする羽目になったのです。
おまけに、普段航空分野を一切扱わないネットサイトのライターが、いかにもJALが悪い事をしたかのように執拗に騒ぎ立て、SNSをさらに混乱させました。
航空分野に精通していて、FR24を日常的に使っていれば、いかにあのアプリの誤表記が多いか理解できていたはずです。*4
己の発信力を正しい情報の発信に使用することができたにも関わらず、JALの不祥事だ!と批判したり、オカルト扱いして話題づくりをしていたのは、いちJALファンとして到底看過できるものでは無く、ここに強く抗議します。
ネットで犯した過ちは、せめてネット上でだけでも償うべきです。この出来事を広めたネットメディアには適切な対応を求めます。
今回の件で、めんどい再発防止策やらを強要されるJALグラハンの感想(もちろん予想)
なんでワイらがヲタクアプリの誤表記まで想定して仕事しなくちゃいけないの?(理不尽)
※分かる人だけ分かればいい
最後に、日航123便墜落事故が発生した日時は8月12日です。
今年も間もなくその日時を迎えます。その日は犠牲者を悼むと共に、日々の航空安全を支えている全ての人に感謝したいと思います。

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