皆さんこんにちは。
楽しくヒコーキです。
今回は、航空機が着陸する方式のひとつである「PARアプローチ」について書いていきます。
それではよろしくお願いします。
管制官が一方的に喋り倒す?!

「航空機はどうやって着陸しているのか?」
大半の場合、この質問に対しての答えは「機械(計器)を使って滑走路の位置を把握し着陸している」で正解ですが、使う機械の精度はそれぞれ異なります。
ボーイング777やエアバスA350のように精度の高い機械を機内に設置できる十分なスペースがある航空機がある一方、戦闘機など悪天候でも国防の任務に当たらなくてはならないけれども、精度の高い機械は重くて、大きくて設置できないような航空機もあります。
スクランブル発進し任務を終えて帰投しようとしても飛行場周辺の天候が悪かったとして、燃料も限られた量しか積んでいない戦闘機は上空待機する時間がありません。
例え隊員が緊急脱出し戦闘機は海に不時着できたとしても、海に不時着するなんてことを高価な戦闘機で何度もすることは出来ません。
しかし、高価な戦闘機を失いたくないからと言って悪天候時に飛行(任務)をしないという選択肢もありません。雨の日も風の日も、外国の悪い輩は日本の領域に進入しようとします。
なので、航空機(戦闘機)側に負担の大きい設備を搭載させるのでは無く、地上の管制側に充実した設備を準備して精密なレーダーを管制官が駆使し、ILS等の滑走路に誘導する精密な電波を使わずに、管制官の声で誘導しようと言うものがPARアプローチです。
内容はとっても原始的?発言は制限される?

このPARアプローチ自体は1940年代から運用されています。
内容は管制官がレーダーで航空機の位置を見て、滑走路の位置を示すグライドパスやローカライザーから外れていないかを確認し、外れているようならば修正するように細かな指示を出します。
この指示の内容はとても細かくて、例えば北を360°、南を180°とした針路だったらば1°ずつの指示を出します。また、滑走路の接地点からの距離も1マイルずつ伝えます。
その情報や管制官からの指示を基に、パイロットは針路や高度を修正し、だいたい200ftくらいからは管制官による誘導が終わり、目視で滑走路の位置を確認し着陸するか、見えなければ進入復行経路などをたどることになります。
この管制官の声による誘導は、ILSのカテゴリーⅠに相当する精度です。
普段の航空管制では、パイロットが指示の内容を復唱してダブルチェックする事が基本ですが、PARアプローチに関しては管制官側から「これ以降(復唱も含めて)貴局からの送信は認めません(Do not acknowledge further transmissions.)」という、言わば「お前もう話すなよ命令」がなされます。
これは、復唱をしている間にどんどんコースから外れていくから話すなよという意味であり、パイロットが復唱する時間も無いほど次から次へと指示が出されるという予告でもあります。
それでは、PARアプローチではどのように交信するのか見ていきましょう。
Final controller radio check. How do you read?

管制官(ATC)が話す内容は青で、パイロット(P)が話す内容は赤で書いていきます。あくまでも例です。
P: Nagoya final controller All Nippon 232, maintain 2100 feet.「名古屋GCAこちらはANA232便。2100フィートを維持しています。」
ATC: All Nippon 232, Nagoya final controller radio check. How do you read?「ANA232便、こちらは名古屋GCAです。無線の感度を確認します。いかがですか。」
P: Reading 5, All Nippon 232.「よく聞こえます。ANA232便。」
ATC: All Nippon 232 roger, we reading 5, This will be a PAR approach to runway 34. Guidance limit 200 feet. Do not acknowledge further transmissions. Check QNH29.92inHg.「ANA232便了解。こちらもよく聞こえます。これからPARアプローチで滑走路34へ誘導します。誘導限界は200フィートです。これ以降、貴局からは交信しないで下さい。QNHは29.92水銀柱インチです。」
ATC: Right of course approaching course quickly. Maintain 2100 feet.「進入コースの右側にいます。また急速に進入コースに接近しています。2100フィートを維持。」
ATC: Turn left heading 337.「左旋回し針路を337°に。」
ATC: Turn left heading 332, right of course.「左旋回し針路を332°に。進入コースの右側にいます。」
ATC: 10 miles from touchdown. 「接地点から10マイルの位置にいます。」
ATC: Turn left heading 332, right of course. Going to Right.「左旋回し針路を332°に。現在進入コースの右側にいて、右にずれていっています。」
ATC: Turn left heading 329, 9 miles from touchdown.「左旋回し針路を329°に。接地点から9マイルの位置にいます。」
ATC: Right of course, turn left heading 325.「進入コースの右側にいます。左旋回し針路を325°に。」
ATC: 8 miles from touchdown. Coming back to course very slowly.「接地点から8マイルの位置にいます。また、ゆっくりと進入コースに戻ってきています。」
ATC: 7 miles from touchdown. Gear should be down.「接地点から7マイルの位置にいます。車輪を降ろして下さい。」
ATC: Approaching Glide path.「グライドパスに接近中。」(降下予告)
ATC: Begin Descend.「降下を開始して下さい。」(降下開始)
ATC: Right of course, approaching course.「進入コースの右側にいて、接近中です。」
ATC: Turn right heading 327, right of course. Approaching course quickly.「右旋回し針路を327°に、進入コースの右側にいます。進入コースに急速に接近しています。」
ATC: Heading 330, right of course. 6 miles from touchdown.「針路は327°、進入コースの右側にいます。現在接地点から6マイルの位置にいます。」
ATC: Wind 330 at 16kt, gust 22kt.「風は330°から16ノット、瞬間的に22ノット」
ATC: Right of course. Approaching course very slowly.「進入コースの右側にいて、ゆっくり接近しています。」
ATC: Below Glide path, adjust rate of desend.「適正角より低いです。降下率を調整して下さい。」
ATC: Turn right heading 332.「右旋回し針路は332°に。」
ATC: Runway 34 cleared to land. Wind 350 at 16kt.「滑走路34への着陸を許可します。風は350°から16ノット。」
ATC: On glide path. 3 miles from touchdown.「適正降下角上、接地点から3マイルの位置にいます。」
ATC: On course, on glide path. I say again, runway 34 cleared to land. Wind 350 at 15kt gust 21kt. You're passing 2 and half mails from final.「全て適正です。繰り返します、滑走路34への着陸を許可します。風は350°から15ノット、瞬間的に21ノット。現在滑走路から2.5マイルの位置を通過中です。」
ATC: Turn left heading 330, slightly right of course. On glide path.「左旋回し針路を330°に、わずかに進入コースの右側にいます。適正降下角です。」
ATC: On course, on glide path. Wind 320 at 11kt.「全て適正です。風は320°から11ノット。」
ATC: Turn right heading 334, right of course. Approaching course quickly. Slightly below glide path, adjust rate of desend.「右旋回し針路を334°に、進入コースの右側にいます。急速に進入コースに接近しています。また、適正降下角よりわずかに下にいます。降下率を調整して下さい。」
ATC: 1 mile from touchdown. On course, on glide path.「接地点から1マイルの位置にいます。全て適正です。」
ATC: Guidance limit, take over visually. If runway not insight, execute missed approach. Wind 330 at 18kt.「誘導限界に達しました。目視により着陸をして下さい。もし、滑走路が見えなければ、進入復行してください。風は330°から18ノットです。」
P: Runway insight. Thank you!「滑走路を視認しました。ありがとうございます。」
ATC: Roger, after landing contact Nagoya ground on 121.7.「了解、着陸後は名古屋グラウンド管制の周波数121.7MHzと交信して下さい。」
P: Yes, sir.「了解」
圧倒的に青文字(管制官が話した文)の方が多かったですよね。
実際も僕の作った交信例と同じような流れと、管制官の指示内容です。今は、ILSやRNAVを使った進入方式が普及しているので、国土交通省の航空管制官が管制をしている空港では那覇空港でしかPARアプローチを実施していません。
では他にどんな空港があるのかというと、自衛隊や米軍の隊員が管制を行っている空港です。
このような軍隊員が管制を行っている空港では、戦闘機などの軍用機以外のANAやJALなど民間機もPARアプローチを行う場合があります。
2分20秒頃からPARアプローチ開始。
この動画では美保GCA(米子空港)の交信が記録されています。どのくらいの頻度や早さで管制官とパイロットが交信しているのか気になった方はぜひご覧ください。
今回はここまでにしようと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
Have a good day!