当ブログでは日本初新設LRTの変化を記録するため、2020年11月の宇都宮市長選挙の結果から、当選した市長が考えるネットワーク型コンパクトシティ(NCC)についてや、工事の進捗についても取り上げました。
あれから半年以上が経過した今、導入計画がどこまで進んだのかを書いていきます。
開業時期は1年延期、事業費は約226億円増
当初2022年3月の開業を目指して計画を進めていましたが、2021年1月25日、宇都宮市はLRTの開業時期を1年程度延期させて、2023年春の開業を目指すと発表しました。
延期の理由は新型コロナウイルス感染症の流行により、用地買収が遅れているためとしています。
車両の納入も新型コロナウイルス感染症の流行により、海外からの部品調達が遅れているとして、1編成目の納入が予定より2か月遅れると同時期に発表されました。
なお、上の画像に写っている通り、納入が遅れていた1編成目は2021年5月27日、「平石(ひらいし)停留場」近くにある車両基地に納入されました。
事業費については宇都宮市分が412億円から191億円増の603億円に、芳賀町分が46億円から35億円増の81億円に、それぞれ増額されました。
この事業費の増額をめぐっては約2年前(2018年12月頃)、宇都宮市が約172億円の増額を試算していたので、2020年11月に執行され、LRT事業継続の可否が争点となった市長選挙の公正さを揺るがしかねないと論評する新聞もあります。
LRTを主体とするネットワーク型コンパクトシティ(NCC)で交通渋滞を軽減させて、中高生や運転免許を持たない高齢者など、遠くに外出したいけれども、手段が少ないから近所にしか行かないという市民が移動しやすい街になると言うのであれば、事業費増額についても公表した上で、NCCやLRTの恩恵にあずかる市民の審判を仰ぐことが筋であり、今回のような事をされると将来日本の別都市でLRT新設の議論が活発になった時に悪影響を与えかねないので、とても残念です。
路線の愛称が決まる
2021年4月23日、LRT車両の愛称を4つの候補から、主に宇都宮市民と芳賀町民を対象とした投票により決定しました。
投票は選択式で、宇都宮市と芳賀町の公共施設に設置された投票箱に投票する方法と、ファクシミリで投票する方法で2020年12月から翌21年1月にかけて行われ、総投票数は40,668票でした。
投票結果は「ライトライン 19,840票」「ウェライト 3,653票」「ミライド 10,497票」「ミライトラン 6,678票」でした。
結果に基づき、最も多く票を集めた「ライトライン」がLRT車両の愛称に決定しました。
「ライトライン(LIGHT LINE)」の「ライト(LIGHT)」はLRT=Light Rail TransitのLightであると同時に、雷が多い宇都宮に使われる別称「雷都(らいと)」ともかけられています。
停留場の名称が決定
2021年4月23日、芳賀・宇都宮LRTの全19停留場名称が決定しました。
この名称は、地域の意向を把握するアンケートの結果を踏まえ、芳賀・宇都宮LRT停留場名称検討委員会が提案した名称が採用されました。
名称については「えっ?それでいいの?」と思うものがいくつかあります。
宇都宮駅東口・東宿郷・駅東公園前・峰・陽東3丁目あたりまでは、路面電車でよくある名称の形式に沿っていると言えますが、宇都宮大学陽東キャンパスとか、清原地区市民センター前とか、芳賀町工業団地管理センター前とか、「長すぎるし、英訳したら凄いことになりそう」な停留場名も点在しています。
しかし、停留場の名称が言いにくければ、利用者の間で愛称が自然発生するので大きな問題ではないかもしれません。
地名についてはLRT関係なく難しい読みがあるので、難しそうなのと頻出するのを挙げて、読みを紹介します。
宿郷(しゅくごう)、陽東(ようとう)、平石(ひらいし)、飛山(とびやま)、青陵(せいりょう)高校、清原(きよはら)、ゆいの杜(ゆいのもり)、芳賀(はが)、高根沢(たかねざわ)
ライトライン(HU300形)が宇都宮で姿をあらわす
2021年5月27日、平石停留場に接続する車両基地に、新潟トランシス製HU300形・ライトラインの最初の編成が到着して、31日には、宇都宮市長や芳賀町長など関係者およそ80人が出席したお披露目式が車両基地で行われました。
お披露目式では報道関係者も参加した形で行われたので、インターネットを通じて全国に発信されました。
また、宇都宮市のホームページによると、宇都宮市民・芳賀町民や仕事や学校で通っている人を対象とした車両見学会が行われる見込みです。
これからも引き続き、全国初のLRT路線新設事業を追っていきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。