航空ファンによる航空・旅行ブログ

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【最優秀賞】航空無線の良さを語る。「航空無線は最高の異文化交流の場です。」

皆さんこんにちは。

楽しくヒコーキです。

今回は管制官パイロットが指示や許可、情報等を英語でやり取りする航空無線の良さを書いていきます。

それではよろしくお願いします。

航空無線は最も身近で、この上ないほどの異文化交流の場です。

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航空無線はなんだか聴いてはいけない機密情報の塊のように思うかもしれません。

しかし、実際には航空無線を傍受することはまったく問題ありません(もちろん法律にも触れない)し、国土交通省の公式ページに「エアバンド(航空無線)を聴いてみよう」みたいなページがあります。つまり航空無線を聴くことを推奨しているのです。

www.mlit.go.jp

なので、受信機(一般のラジオ受信機より少し高性能な種類)さえあれば、ラジオと同じ感覚で、誰でも堂々と傍受することができます。

 

日本の玄関口「成田国際空港」は世界40ヶ国3地域を結ぶ路線があります。展望デッキで飛行機を見ていても、アジア、北米や中米、中東、オセアニア、ヨーロッパ、アフリカなどなど、世界各国の航空会社の機体が離発着しています。

空港に居るだけで多くの外国人に出会えますし、空港アナウンスで多くの外国語を聞くことができます。外国語の空港アナウンスが織りなす雰囲気が好きだという方も多いはずです。

しかし、空港滞在以上に外国語を楽しめる方法があります。それは、航空無線です。

管制塔やレーダー室にいる航空管制官と、世界各地からやって来たパイロットが交信する航空無線は、どの国でも原則英語か母国語(日本の場合は日本語)で行うことになっていて、外国人パイロットに対しては100%英語で行われます。

先程書いた航空無線の受信機で航空無線を聴いていると、日本人の管制官アメリカ人のパイロットが英語で交信したり、日本人の管制官が日本人のパイロットと英語で交信したり、日本人の管制官がアジア人のパイロットと英語で交信したり…と、とても楽しむことができます。

また、管制官は一度に10機以上の飛行機を相手にすることもあります。つまり、1つの周波数で10以上の母国語を持つパイロットと英語で交信することだってあるんです。

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アメリカ英語の後にイギリス英語、イギリス英語の後にオーストラリア英語、オーストラリア英語の後にフィリピン英語、フィリピン英語の後にインド英語…みたいに流れる航空無線は、先述したように誰でも聴ける身近な存在でありつつ、この上ないほどの異文化交流の場でもあります。

航空無線聴いてみると、国ごとにすごく訛りがあることが分かります。長く聴けば、英語の発音だけでどこの国の人かが分かるようにもなります。(自慢じゃないけど、僕は分かるようになりました)

傍受するだけなので、僕自身が異文化交流の場に参加する訳ではありませんが、航空無線を聴くだけでも楽しめますし、定型文が多いので大人でも子どもでも楽しめると思います。

また、外国人パイロットが日本人管制官に対して「サヨナラ〜」とか「アリガト」と日本語であいさつをしてくれる時もあります。これは、外国への親しみや英語への興味を持つきっかけになるでしょう。

さて、ここからは航空無線で使われる英語がどのレベルの難易度なのか、英検のグレードをもとに見てみましょう。

※参考までに3級は中学卒業程度、準2級は高校中級程度、2級は高校卒業程度、準1級は大学中級程度、1級は大学上級程度とされています。この例えは、航空無線で使われる用語がどれくらいのレベルなのかを身近に例えた物だと受け取ってください。

※日本の航空無線では、数字を1つずつ読む決まりになっています。(例101→one-zero-one、1,111→one-one-one-one)

まずは定型文から

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機体の前にある小さなトラックみたいなので押す(機体を後退させる)事をプッシュバックと言う。

Tokyo ground, Good morning, All Nippon 109, request push back, gate 60, with Information Alpha.(東京国際空港の地上管制席へ。おはようございます、こちらオールニッポン=ANA109便です。プッシュバック許可を要求します。現在地はゲート60番で、空港情報は識別記号A(アルファ)を取得しています。)

Ground(地上)は英検2級レベル

Request(要求)は英検準2級レベル

Push(押す)は英検準2級レベル

Back(後退)は英検3級レベル

Gate(ゲート)は英検3級レベル

with(~と)は英検3級レベル

Information(情報)は英検3級レベル

識別記号とは飛行場の天候、滑走路運用、その他備考を自動音声で一方送信しているATISという放送の情報に割り当てられている記号です。ATISの放送は概ね30分毎に更新されます。更新されると識別記号がAからBに変わり、それをZまで繰り返しAに戻ります。

航空管制官が、操縦士が本当に最新の空港情報を認識しているのか判別するため、混雑空港では操縦士に対し、最初の交信時に識別記号の通報を要求しています。

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Japan air 101, preceding traffic Boeing 737 is vacated, Runway 34-Right, Cleared to land, wind 310 at 5.(ジャパンエア=JAL101便、先行するボーイング737型機は滑走路を離脱しました。滑走路34Rへの着陸を許可します。風は310度(北西)から5ノットです。)

Vacated(明け渡す)は英検1級レベル

Runway(滑走路)は英検準1級レベル(←意外とレベル高めだった)

Preceding(先行する)は英検2級レベル

Traffic(交通)は英検準2級レベル

Cleared(クリア)は英検3級レベル

Land(陸)は英検3級レベル

Wind(風)は英検3級レベル

曖昧な用語を用いたがために発生した悲惨な事故が過去にあった事から、航空管制では離陸・着陸許可の用語を以下のみに限定しています。

離陸許可は“Cleared for Take-off.“

着陸許可は“Cleared to Land.“

情報報告編

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All station Narita tower, latest pilot report, moderate turbulence at 15 miles West of airport, altitude between one zero thousand feet and one three thousand feet, reported by Boeing 787, United 142, just now, use caution.(成田飛行場管制席管内の全局(全航空機)へ、最新のパイロットによる報告です。並の乱気流が当空港の15マイル西、高度10,000ftから13,000ftの間で観測されました。この報告はボーイング787型機のユナイテッド航空142便が、たった今行いました。ご注意を。)

Turbulence(乱気流)は英検1級レベル

Latest(最新の)は英検2級レベル

Moderate(並の)は英検2級レベル

Altitude(高度)は英検2級レベル

Caution(警告)は英検2級レベル

Tower(タワー)は英検準2級レベル

Pilot(操縦士)は英検準2級レベル

Miles(マイル)は英検準2級レベル

Airport(空港)は英検準2級レベル

All(全て)は英検3級レベル

Station(局)は英検3級レベル

Report(報告)は英検3級レベル

West(西)は英検3級レベル

between(間)は英検3級レベル

Reported(-byを付けて「報告は」)は英検3級レベル

use(働かせる)は英検3級レベル

意外とやさしいですよね。

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難しい英語をベラベラ話して、聴いてても全く分からない(*_*)ってほどのレベルじゃなかったですよね。

航空無線はパイロットや管制官の英語のスキルを測るものでは無く、あくまでも指示や許可が間違えなく正確に伝わる事を第一に考えられています。

なので聞き間違える要素が無くて、できるだけ簡単(単純)な用語で構成されています。

だから航空無線は楽しいんです!

難しい英語が聞こえるだけじゃ人間すぐ飽きてしまいます。しかし比較的簡単な英語を様々な母国語のパイロットが話すからこそ、英語の訛りやネイティブの発音を誰でも楽しむことができるんです!

これほど素晴らしい異文化交流の場は他に無いと思います。

今回はここまでにしようと思います。

(追記)

この記事が語学教育の総合企業「アルク」の厳正な選考によって、450記事中の最優秀賞に選ばれました。ありがとうございます。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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