【徹底解説】フィリピンマニラ管制のしつこい説教とジェットスターPの対応力の低さに失望しました。
皆さんこんにちは。
楽しくヒコーキです。
今回は先日フィリピンのマニラ空港(MNL/RPLL)で発生したジェットスタージャパン(GK/JJP)の定期便であるJJP40便が、滑走路から脱輪したことについて書いていきます。
それではよろしくお願いします。
この記事のポリシー
僕はこの事案の航空無線を全て聞きましたが、多少の誤認があったものの結果的に管制官とパイロット間での意思疎通はある程度できていたので、ここでは英語力云々などという低俗なことは書きません。
だいたい英語が下手くそだというのは、自分が英語が得意なだけの日本人がブブー言っています。うまいヘタの基準もないままゆっくり言うと遅すぎて聞き取れないと言い、早く言うとカッコつけていると言うような訳のわからない記事を書きたいわけではないのでこの記事では英語について書きません。
またこの件は、日本の国土交通省で航空事故に繋がりかねない重大インシデントに認定されたという報道がありました。先日福岡空港から離陸したANA機がエンジン付近から出火したことがありましたが、こちらは安全な運航に支障がなかった為重大インシデントに認定されませんでした。
正直ジェットスターとANAどっちを書こう悩みましたが、ジェットスターの方は重大インシデントに認定されたと報道されており、無線など情報も多かったのでこちらを選択しました。
ANAの方は今後同型機や同型エンジン装着機の動向に注目して、なにか動きがあったりネタ切れになったらば書くことにします。
内容整理
①ジェットスタージャパンの航空機がこの日何らかの理由により進入が禁止されていた場所に進入したと思われます。
②誤進入した原因は、パイロットがノータムと呼ばれる一時的なものや緊急的な閉鎖情報を通知する文章の内容を失念した(又は確認していなかった)ことや、管制官が後続到着機迫っていたことからImmediate Take off.「迅速に離陸せよ」の指示を発出していてパイロットの気がそれていたことなどが考えられます。(過去の事故からの推測です)
③パイロットがRejected take off.「離陸中止」と通報したものの、聞き逃した管制官が再度Immediate Take off.「迅速に離陸せよ」と繰り返します。
④パイロットが再度Rejected Take off. Off the runway right side.「離陸中止。滑走路から右にそれた。」と通報すると、管制官は接近していた後続到着機にゴーアラウンド(着陸復行)の指示を発出しました。
⑤パイロットが牽引車を要請しますが、管制官からの返答は「ノータムを見れば分かるが貴方はF1(誘導路の名前)から進入し離陸するべきだった。」と説教(批判)を始めます。
ここからパイロットがUnable taxi. I can NOT taxi.「自走できない」、Request towing car.「牽引車を要請する」と通報しますが、管制官はYou should (have) entered the runway from F1.「貴方はF1から滑走路に進入すべきだった」と言うやりとりをくりかえします。
⑥その後管制官が「牽引車が急いでくるよう手配した。」と言うもののパイロットはRequest towing car.「牽引車を要請する」とまたも噛み合わない交信を数回繰り返します。
噛み合っていないのか、自己主張なのか…
パイロットはトーイングカーと呼ばれる牽引車を要求したのに対して、管制官は「貴方はF1から滑走路に進入し離陸すべきだった」という説教や批判以外の取り方ができないような言い方で、パイロットの要求を受け入れようとしませんでした。
これは噛み合っていないのではなく、管制官の自己主張または管制官が事態の重大さ(見動きが取れず救助が必要な状況)に気づいていなかったと考えることが自然です。
パイロットから要求された時には、調整をして可能な限り応えることが管制官の役割です。その管制官がYES(牽引車を向かわせる)もNO(牽引車は準備できない)もパイロットに通報せずに、自己主張を繰り返すことは好ましくありません。
想像ですが、管制官は自分の言った通りにジェットスターの機体が動かず、後続到着機2機ほどが着陸復行になりイライラして「俺の言うとおりに動けばこんな事にならなかったんだ」と、ジェットスターのパイロットに何としてでも分からせたかったのだと思います。
ただ例え話で言うと、交通事故が発生し、血を流している人がいた際に最も大切な事は救急車を呼ぶことであり、事情聴取をすることではありません。この管制官は、血を流している人に対して責め立てているのと同じことをしています。
これは断じて容認できません。
本当に理解できなかったのか、動揺していたのか…
管制官がパイロットの要求に応える形で牽引車を手配したと通報したにもかかわらず、パイロットは牽引車を要求すると話の内容が伝わっていないと取れる交信を何回かしていました。
これは本当に(英語が)理解できなかった訳ではなく、動揺していたことによるものだと僕は思います。
脱輪したことや管制官が要求にうんともすんとも答えてくれなかったりと、動揺する材料は十分あります。
ジェットスターに甘い意見と言われるかもしれませんが、管制官は航空機に対して指示や許可を発出する立場です。
また管制官は、航空当局の長(日本の場合は、国土交通大臣)の代わりの立場です。つまり、管制官の指示や許可は国からの指示、許可と置き換えることができます。その証拠に航空法でも航空管制官を国土交通大臣として表記しています。
例 : 航空法 第九十六条
航空機は、航空交通管制区又は航空交通管制圏においては、国土交通大臣が安全かつ円滑な航空交通の確保を考慮して、離陸若しくは着陸の順序、時機若しくは方法又は飛行の方法について与える指示に従つて航行しなければならない。✈✈✈✈✈✈✈✈✈
通訳すると、管制官が最善な方法を考えて指示を出すから航空機はそれに従って飛行してね!ってことです。
フィリピンにも民間航空局や航空庁があるので管制官もおそらくそこの所属だと思います。国(政府)を代表する人間(管制官)が、他国のパイロットにYou should haveと批判をすることはよろしくありません。
場合によっては責任問題になり、その場合、国を跨いでいることから国際的な責任問題となります。
なので僕は、管制官は今回のように相手を責める行為を無線上ですべきでは無かったと考えています。この件は日本の重大インシデントに認定されたと報道がありましたが、日本の国交省の外局である運輸安全委員会による事故調査はフィリピン当局の許可や要請が無いとできないので断言できません。
ただもし調査がされれば、この問題も取り上げられると思います。いや、取り上げられるべきです。
航空管制官が民間機のパイロットに無線で説教するなんてあってはならないです。
今回、フィリピンの管制官はジェットスター機に対して「貴方はF1から進入すべきだった。」と言っていますが、現在進行形で事故が発生しているのにそんな風に説教をしても何も事態は進みません。
管制官はジェットスターのパイロットに「私が間違いを犯してしまいました。お許しくださいませお代官様。」とでも言ってほしかったんでしょうか。
今回の件で、ひたすら自分の要求を繰り返すことだけしかできなかったジェットスタージャパンのパイロットと、状況を理解せず(理解しようともせず)本邦の航空会社に執拗な説教をしたフィリピンマニラ管制には失望しました。
航空会社は選べても担当の管制官は選べませんからね。どうにかしてほしいです。機長が「滑走路上に緊急脱出をする」と報告しても、「あんたはあーすべきだった!こーすべきだった!」と言っている管制官の管制下では、本当に滑走路上に脱出していいのか不安が残りますからね。
皆さんはどのように考えましたか。
僕はこの件は完全に管制官の方に問題があったと思います。ジェットスターのパイロットの対応力についても言及しましたが、この件でジェットスターパイロットは悪者ではありません。ただ、グチグチ言ってくる管制官にパイロットがガツンと言ってほしかったなと思います。
今回はここまでにしようと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。