目を引くピンク色の機体で運航するピーチ。
2019年には同じANAHDの傘下だったバニラエアと経営統合して、国内最大のLCCとなっています。
もともと大阪の会社なので、バニラエアと経営統合する前の成田便は1日数便程度でしたが、経営統合を機に成田を拠点とするバニラエアの成田発着路線を引き継ぎました。
成田空港をハブ化してまもなく感染症が流行します。それでも強気の路線展開を続け、成田拠点のバニラエアさえも就航していなかった釧路・女満別・大分・長崎・宮崎・鹿児島へと翼を広げています。
第1ターミナル発でも、やはりバス搭乗
成田空港でピーチは第1ターミナルから出発します。
第1ターミナルはANAを筆頭とするスターアライアンスとスカイチームに加盟している航空会社の国際線が主に使用しています。
ピーチは第1ターミナルの国際線到着ロビーのフロアで国内線の搭乗手続きを行っています。
以前は離れた第3ターミナルまで移動する必要があったので、この点は多少便利になったなと思います。
しかし搭乗はやはりバス。これで搭乗橋利用だと「すげーな」と思いますがこれは仕方がないですね。
定刻10時30分発のMM351便は9時55分ごろ搭乗口を開いて、バスへの誘導をはじめました。
使用機材はエアバスA320、JA04VA、元バニラエアの機体です。
エアコンの吹き出し口からミストのようなものがまかれています。これは意図的に何かを噴霧しているわけではなく、エアコンの仕様で自然発生しています。
ただの水蒸気なので心配する必要はありません。A320に多く見られる事象で、外気が高温だと発生しやすいように感じます。
定刻にプッシュバックしました。
スポット411番からT-6, S, T-3, S-3GWY, C, W, W-6, A, A-1の順に地上走行します。
相変わらず駐機している飛行機が多いなと感じる一方、MM351便の機内に空席はほとんどありません。この飛行機は180席あります。
後続出発機が連なる
MM351便はW-6から平行誘導路のA誘導路を進み、突き当りのA-1取付誘導路で左折、離陸滑走路16Rの停止線まで走行しました。
見えた限り、我々に先行する離陸機2機は共にボーイング747型貨物機でした。前のアトラス航空が離陸滑走を始めると、飛行場管制席の管制官はMM351便に滑走路に進入して待機するよう指示を発出します。
滑走路進入時に後方を見るとMM351便に追従して平行誘導路を走行している後続機の姿が見えました。
午前10時頃、コロナ前の成田はアジア路線、ヨーロッパ路線が最も混む時間帯で、それプラス国内線の便も加わり、誘導路で10機近くの航空機が列をつくって離陸待ちする光景があたりまえでした。
ANAと同じく、ポーンというチャイムを4回鳴らして客室乗務員が離陸のアナウンスをします。
成田空港の滑走路16Rの全長は4,000メートル。日本で最も長いこの滑走路長は国内線の小型機には十分すぎる距離です。
機首を南に向けると一度停止、徐々にエンジンの回転数を高めながら離陸滑走を始めました。回転数が安定していることを確認すると離陸出力(TO/GA)まで高めます。
中央の2,000メートルに達するか達しないかの位置で離陸、車輪を格納するとまたチャイムがなります。
車輪を格納すると間もなく周波数を変更。成田空港の管制塔にいる管制官から羽田空港のレーダー室にいる管制官にハンドオフです。
レーダー室の管制官に便名・現在の高度・どこの高度まで上昇するか通報すると、レーダー室の管制官はモニターのターゲットと照合し、合致すればMM351に「レーダーコンタクト(レーダーで捕捉しました)」と通報、レーダー誘導・監視が始まります。
成田空港から南に向けて離陸する場合、目立った高度制限はありません。
MM351便も一気に24,000フィートまで上昇する指示が発出されています。
離陸時の針路のまま上昇を続け、陸地を離れて少し経ったところで180度近い右旋回をして、ポイントTETRAに直行する指示が発出されています。
少し複雑ですが、どうやら羽田空港の北を通る航路のようです。
成田から中国地方・九州北部に向かう国内線や欧州・韓国に向かう国際線で使うことが多いように感じます。
上昇中、特に離陸後数分間は小刻みな揺れが続いていました。
おもしろくて便利なサービスを発見w
都心上空を通過すると巡航に移り、38,000フィートを巡航高度として関西上空まで飛行します。
そしておもしろいサービスも発見しました。
機内食の注文、フライトマップや動画を見ることができる搭乗客専用のコンテンツが2021年3月9日からピーチの機内で使えるようになりました。
衛星によるインターネット回線を使用せず、インフライトサーバーと呼ばれるものを介してオフラインの状況でもクレジットカードの決済ができる技術を開発したらしいです。
そのためか、スマホの表示はWi-Fiに接続されているとなっていましたが、ピーチのサイト以外は繋がりませんでした。
フライトレーダー見たかっt(((
岡山上空から揺れ始め、2度巡航高度を変更
機内デジタルサービスの動画コンテンツを見ていたら中四国地方の上空でした。
この辺りで機体がカタカタ揺れ始めます。コップの水が溢れるほどの揺れではありませんが、乗り心地としては不快な揺れです。
揺れ始めてから少し経つとエンジンの回転数が下がり、客室前方を見ても機首が下がっていたので降下していると気づきました。いままで飛んでいた高度38,000フィートを離れ、1つ下の高度36,000フィートに降下します。
高度36,000フィートに達して水平になったのも束の間、この高度でも揺れが続いています。MM351便は5分弱の水平飛行の後、もうひとつ下の高度34,000フィートまで降下します。
高度変化も先ほどのフライトマップで数値としてわかります。
機窓からは岩国飛行場が見えました。
左側だったので岩国から先も山口宇部、北九州、佐賀空港がはっきり見ることができました。
ここから長崎空港着陸に向けて巡航高度34,000フィートを離れます。
福岡地域の上空です。福岡空港は右窓なら見られたかもしれません。
福岡までは雲の切れ間から地表が見えましたが、これから降下すると特に佐賀県上空では気流の乱れがある雲に覆われました。
続いて見えてきたのは佐賀空港。
福岡の写真と違って暗くなってきていることがわかると思います。
12時10分にシートベルト着用サインが点灯しました。
低空で旋回すると諫早市上空を通過して長崎空港の滑走路32にアライン。
長崎空港は関西国際空港や中部国際空港と同じく、海を埋め立てて造った海上空港です。海外だと仁川国際空港や香港国際空港も海上空港ですが、実は長崎空港が世界初の海上空港なのです。
海洋国家・日本は領域が広い割に空港をつくる平坦な広い土地が少ないことや、人口密集地への騒音及び落下物の懸念から世界的に見ても海上空港が多い国です。
12時22分、世界初海上空港の滑走路32に着陸です。
海上空港特有の「海に向かって高度下げてるけど大丈夫?滑走路どこ?陸地どこ?」といった小さなスリルも楽しむポイントです。
取付誘導路から滑走路32を離脱、そのまま平行誘導路を走行して8番ゲートに向かいます。
12時26分頃、MM351便は長崎空港に到着しました。定刻より20分ほど早い到着です。
降機は前方の乗客から3つのグループに分けて案内されます。
長崎空港周辺の天気は曇り、気温は28℃です。
Youは何しに長崎へ?
ユーモアたっぷり?なこの看板、掲出者が地元自治体だと知って2度驚きです。
この看板はコロナ前に設置されたと思われますが、いま「Youは何しに来たの?」と言われると別の意味なのかと感じてしまいます。場所も空港ですし。
言わずもがな、フレーズはテレビ東京の某番組名を模したものです。番組を見たことがある!成田空港で撮影クルーを見かけたことがある!という方も多いのではないでしょうか。
ピーチは乗ってきた飛行機に乗って帰ること(いわゆる「タッチ」)ができない予約制度になっているので、今回は長崎市内に一泊します。明日、MM352便で成田に戻ります。
ありがとうございました。