近年、航空の需要は大きく変わりました。
地方と地方を結ぶ航空路線はボーイング737やエアバスA320のような小型機ですら利益を出すことが困難になっています。
今回搭乗する「IBEXエアラインズ」はCRJ700という70人乗りのリージョナルジェットで全便運航しています。
737や320では利益を出せなくても、より小型なCRJ700だったら利益を出せる、IBEXエアラインズはそんな地方の高速輸送交通網として役目を果たしている航空会社です。
貴重なリアエンジン機に搭乗しよう!
東北新幹線の停車駅でもあるJR郡山駅からリムジンバスも出ていて、所要時間はおよそ45分。東北自動車道とあぶくま高原道路を使えば首都圏からのアクセスも容易です。
福島空港は南北を向いた2,500メートルの滑走路が1本あります。時刻表上は新千歳空港と大阪空港に定期便があります。
本日は福島空港発大阪空港行きのアイベックスエアラインズIBEX80便に搭乗します。
出発時刻は12時55分、搭乗客数は肌感で約8割ほど(土曜日)でした。
徒歩搭乗でJA07RJの機内へ
地方空港のおなじみ、徒歩搭乗にて機内へと向かいます。
CRJ700はいわゆるジェット機でありながら、エンジンは翼の下ではなく機体後方の高いところにつけてあるため、胴体の高さを低くすることが可能になります。この形の飛行機をリアエンジン機と言います。
リアエンジン機は、世界に搭乗橋がない小さな空港が山ほどあるという事や、搭乗橋を使わなくても容易に客扱い・貨物扱いができる汎用性の高さが評価されています。
一般的なビジネスジェットもほとんどがリアエンジン機です。
リアエンジンについてもう少し余談をすると、今では少数派ですが、ちょっと前まではT字尾翼リアエンジンが当たり前でした。
しかし燃費を良くしたり騒音を小さくしたりと開発を重ねていった結果、エンジンの直径がめちゃめちゃ大きくなって重量比とかの関係で後部にエンジンを設置できなくなりました。
飛行機は離陸時に機首を上げるため機体後部に車輪がないので、あまり重心が後ろに偏るとそのまま尻もちをついてしまいます。
一長一短ですね。
先程からちらちら写り込んでいて気になった方もいるのではないでしょうか。
本日搭乗するJA07RJは楽天イーグルスの特別塗装機です。
IBEXは仙台空港を拠点としている航空会社、楽天イーグルスは仙台を拠点としている球団、仙台つながりで実現したコラボですね。
機内は2+2の横4列仕様です。
小型機なので天井はものすごく低くなっています。通路は1本、トイレは後方1箇所です。
大抵の飛行機は操縦士が利用しやすいように前方に1つはトイレがあります。CRJ700みたいに後方1箇所しかトイレが無い機体は珍しいのではないでしょうか。前方1箇所のみという逆パターンはよく耳にします。
エンジンが間近にあって緊張感が増す
座席に着席しました。
指定したのは最後方の20Aという座席です。CRJを思う存分楽しむのに最も適した座席だと確信しています笑
エンジンの口が真横にあるというのはなかなか緊張感が増すものだと身を持って感じました。CRJの醍醐味を味わう席であるのと同時に、”変態”を自認する人以外は座らないほうがいいなと思います。
間近にあるエンジンが始動すると、爆音が座席まで伝わるので緊張感が一層増します。
プッシュバックをする必要がない駐機場から出発するため、エンジンの回転数が安定すると運情官に地上走行することを通報します。
福島空港は航空管制運航情報官が駐在していて、管制承認を伝達したり空港周辺の航空機に情報提供をしています。
右旋回して滑走路に向かう際には多くのスタッフが見送ってくれました。
一番左の建物が管制塔で運情官が仕事をしています。その右には旅客ターミナルがあり、搭乗橋が3つあるのがわかります。
フラップを展開して30秒ほど地上走行すると、離陸滑走路である滑走路19のT-2取付誘導路に達しました。
T-1が標準の誘導路なのでインターセクションディパーチャーをする予定だとわかります。
T-2誘導路で待機していると滑走路01側から軽飛行機がローアプローチで通過していきました。福島空港には操縦士養成のフライトスクールがあるとかないとかで、画像にあるような軽飛行機がよく訓練を行っています。
ヒュュュビィィィィィィン
4チャイムを鳴らすとT-2から滑走路01に進入、運情官から"Runway is clear"の情報が通報されるとエンジン音を唸らせてぐんぐん加速します。
すぐ後ろからはフルパワーで動くエンジンの音、下を見ても低い位置で流れる地面、迫力満点です。
空港への交通を支えるあぶくま高原道路を眼下にIBEX80便は上昇していきます。
離陸後まもなくしてエンジンはフルパワーの離陸出力から上昇出力に変わりました。わずかなエンジン音の変化を感じ取る瞬間がたまらなく好きです。
ストレスフリーで大阪に直行
福島空港を離陸すると北関東上空を上昇しながら通過して、巡航高度32,000フィートに到達しました。アメリカからソウルに向かうデルタ航空と並走します。
羽田から離陸すると高度制限・速度制限が課せられるため中々上昇できませんが、福島からなら離陸直後に東京ACCと交信、まもなく巡航高度までの上昇を指示されるため、効率よく飛行できます。
時刻表上の所要時間は1時間10分です。
IBEXの正体…。
なんか口外するとまずい内容をバラすみたいな雰囲気の見出しですが全然そんなことないです笑
IBEXは会計ソフト会社を親会社にもつ航空会社なのです。
機内で配られるドリンクサービスには親会社の名前も記されています。
くるっと回すと、なにやらかわいいキャラクターが描かれています。
アイベックスという名の動物がいるらしく社名の由来にもなっているらしい。本物のアイベックス(動物)はもっとゴツゴツして強そうな印象をいだきました。
飲み物は確か緑茶とりんごジュースだった気がします。迷わずりんごジュースを選びました。
機体右側の窓からは中部国際空港が見えました。
この日は静岡県東部で災害級の大雨が降りましたが、中部国際空港周辺は雲が点在する程度で地表や海面まではっきり見えます。
大都会を眺めながらの着陸
ベント着用サインを点灯させるとIBEX80便は着陸に向けて本格的に降下していきます。
流れている川は淀川。大阪で到着前日くらいに降水が観測されていた影響か、淀川はご覧の通り茶色に濁っています。
どの川も雨の後は水質・透明度が悪化したり、増水したりするので注意が必要ですね。
着陸滑走路は32L。CRJ700だと短い32Rへの着陸も可能なので、ちょっと期待していました…。
スカイパークを横目にIBEX80便は滑走路32LのW-8から離脱、引き続きW-8から平行滑走路の32Rを横断する指示が管制官から発出されます。
大阪ではバス降機
IBEX80便は定刻通り大阪空港に到着しました。
右に駐機しているQ400は長期間駐機をしていると見受けました。
大阪空港では搭乗橋を使用せず、オープンスポットに駐機してバスで旅客ターミナルまで移動します。福島では徒歩搭乗・大阪ではバス降機とは航空ファン歓喜の運用です。
乗客をバス2台に分けてで旅客ターミナルまで移動します。
途中でANAのボーイング767-300、JA610Aが出発準備をしている姿が見えました。JA610Aは2020年1月、那覇空港から仙台空港まで特典航空券で移動する際に搭乗した思い出があります。
国際線を利用した複数都市での特典航空券は本当にいいので、どうかこの先も見直されず存続することを切に願います。
さて、定刻通り大阪空港に到着しましたが、今回も日帰りなので3時間後のIBEXに乗って福島空港に戻ります。復路のIBEX81便搭乗記もよろしくお願いします。
ありがとうございました。