皆さんこんにちは。
楽しくヒコーキです。
今回は、離陸待ちについていろいろ書いていきます。
それではよろしくお願いします。
離陸待ちの行列
羽田・成田、伊丹・関空、福岡の主要空港は、国土交通省から航空法第107条の3による混雑空港に指定されています。これらの空港に就航する日本の航空会社は、国土交通省の審査を受けて合格したらば、空港の発着枠が割り当てられます。
つまり、国が制御しないといけないほど需要があり、需要に合わせてフライトを増やすと空港設備や航空交通管制がパンクしかねない状況と言い換えることができます。
そして、発着枠を割り当ててある程度制御しても、このような混雑空港では「離陸待ち」と言って滑走路脇の平行誘導路等に、多くの飛行機が行列を成している状態が毎日見られます。この離陸待ちの列は長いものだと、離陸までに1時間近く要する場合もあります。
では、一体なぜ離陸待ちの列ができるまで飛行機を飛ばすのでしょうか。
離陸待ちの列を作れるのは、航空管制官が居るから
離陸待ちの列を見事にさばくのは、空の守護神「航空管制官」です。
航空管制官のマニュアル的存在の管制方式基準には、滑走路上での間隔について細かく決められています。管制官は決められた間隔を守りつつ、余計な間隔が最小限になるように指示や許可を発出しています。
現在のところ、着陸機が着陸する時間を秒単位で予想することは上空の風や、減速を開始するタイミングなど加味することが多すぎて困難です。例えるならば、入庫する行列ができている満車の駐車場に駐車できるまでの時間を秒単位で予想するくらい難しいことです。
なので、離陸機はとりあえず滑走路の脇で待っててもらって、着陸機が来ないタイミングを管制官が見計らって離陸させよう。というものが、今日の航空交通管制であり、管制官が居ないと離陸待ちの列を作るということは危険性が高いためできません。
離陸待機中、他機に横から追い抜かれる場合がある
先行機が離陸待機中に、他機が横からスイスイ追い抜いていくケースが意外とあります。
その場合に考えられる状況は次のおおむね2つが当てはまります。
- 自機の離陸準備が整っていない場合
- 自機が指定された離陸時刻に達していない場合
それでは分けて見ていきましょう。
離陸準備が整っていない場合
飛行機が離陸するまでにはさまざまなチェックリストを実施する必要があり、その中にはセーフティービデオ/デモンストレーションを放映/実施したりすることも含まれています。
離陸前に実施すべき事が完了していない場合には離陸することができず、パイロットは管制官に"Not Ready."と伝え滑走路の手前で準備が整うまで待機します。
その待機中に、離陸準備が完了している後続機が追い上げてきた場合には、後続機はインターセクションディパーチャーと呼ばれる滑走路をショートカットして離陸する方式を実施します。後続機がインターセクションディパーチャーをする際には、真横を多くの飛行機が抜かして離陸するので乗客からしたらばイライラするかもしれません。
ただ、日本の場合はわからないんですが、アメリカの空港だと「準備ができていない奴が悪い」という考えから、パイロットが「まだ離陸準備ができていない」と管制官に報告すると、駐機場付近の誘導路に戻って準備ができるまで待機するように指示されます。
なぜなら、管制方式基準を僕なりに読み砕いて簡単に説明すると、インターセクションディパーチャーを実施する場合には、先行機との間隔を3分間置いてからでないと次の飛行機の離陸を許可できないっていう、すっごい効率の悪い制約が課されるんですよ。(通常は2分程度の間隔)
連続してインターセクションディパーチャーを実施する場合には、若干制約が緩和されるんですが、それでも「先行機の後方乱気流に注意して下さい」と注意喚起をしてからでないと離陸許可を発出できません。
つまり、アメリカ(外国)の管制官の気持ちを代弁すると「そんなに間隔を確保していたらば、空港が混雑しちゃうYO! そもそも、YOUが準備できてないのに、なんでMEが苦労しなきゃいけないんだYO! 準備ができてないならば、出直してこい!」ってことだと思います。
なんか話がズレましたが離陸準備ができていないと、待たされることがあるってことです。
指定された離陸時刻に達していない場合
飛行機は時刻表上の出発時刻の他に、出発制御時刻(EDCT=Expected Departure Clearance Time)が決められており、各航空機はこのEDCTピッタリに車輪が滑走路を離れるようにします。
ただ実際問題、EDCTピッタリに離陸できるかと言うと、そういう訳にはいかずちょっと遅れたり、早まったりします。
ではもし、空港が思ったよりも空いていて地上走行もスイスイ行って、管制官から指示されたEDCTより早く滑走路に達して、離陸準備も完璧に整っているとします。一見、その飛行機は予定より早くに離陸することができてラッキーなように思えますが、EDCTは管制官からの指示(管制指示)なので取り消されない限り、ETCDより早く離陸することはできません。
そのため、指定されたEDCTより前に滑走路端に到達した場合には、離陸準備ができていない機と同じ様に後続機をインターセクションディパーチャーを実施させてEDCTまで待機するか、EDCTの早い他機を優先的に地上走行させるなどを実施します。
なので、出発制御時刻に達していない場合にも、横から他機が追い越していくことがあります。
そもそも、どうしてEDCTが設けられているかと言うと、近年、航空燃料の高騰や地球温暖化の深刻さが課題とされていて、航空会社は最も安全かつ少ない燃料で目的地まで行ける経済高度の承認を管制に求めるようになりました。
それにより、航空交通が集中する混雑空港(例えば羽田空港)に向かう特定の航空路だけ管制の処理能力を超える混雑が発生することになります。通常、空港付近で混雑が発生すると管制官は上空旋回待機や、遠回りさせて時間稼ぎをするように指示を出しますが、飛行機は上空待機する際も400-500km/hで飛び続けるので、結局燃料の消費量だとか二酸化炭素の排出量は減りません。
なので、出発する空港で到着空港等の混雑が既に予想されている場合には、福岡にある航空交通管理センターが適時、出発制御時刻(EDCT)を航空機に対して発令し未然に空域混雑を防止しています。空港では【遅延(管制指示のため)】と案内されるものが、この出発制御時刻(EDCT)による遅延です。
奥が深いでしょ。管制指示で遅延しているゲートの前でこの事を説明したらば、たぶんすべての乗客が納得すると思います。今回、けっこう良くまとめられたのでEDCTについてだけの特集記事を近く書くかもしれません。
離陸待ちについてはこんな感じです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。